アメリカの株式市場

 




アメリカの株式市場は昨年は弱気相場の基準となる20%を超える暴落となりました

そして今年のアメリカ経済はリセッション入りとの見方もあり、株価は更に暴落するとの分析も多くあります

しかし、この見方には重大な見落としがあります

株価って何だっけ?

株価ってどう言う意味?

という基本から見て行くとアメリカの株式市場に対する見方の実感と実態には大きな乖離が広がっていることが分かります

株式市場の結果だけを見て

上がった

下がった

という、どこかで見た後付け感想文では決して分からない株価のカラクリとなります

そこで今日は

という感じで、まるで講談のような前ふりから何時ものように


ちなみに神田伯山の講談は大好きです

笑点は赤ん坊の頃から大ファンです

っと話が逸れて来たので株価のカラクリと実感と実態の違いを客観的なデータから解き明かして行きます


株価を分解すると

予想EPS×PER=株価

となります

先週金曜日のS&P500の株価と予想EPS、PERはそれぞれ

株価   3972.61ポイント

予想EPS  226.49

PER         17.54倍

となり

226.49×17.54=3972.61

となっています

通常は、この予想EPSを用いて株価の割高とか割安と判断しています

そして通常、どうしても投資家や専門家、マスコミなどが見てしまい判断してしまうのは

株価

となります

株価が上がった

株価が下がった

という目安だったり判断だったり、つまりは数値に裏付けられた水準ではなく単純に株価だけを見て判断してしまっている訳です

それゆえに

S&P500なら4000は割高

とか

3500まで下がらないと割高は解消されない

とか

3000までは暴落する

などの見方や判断が独り歩きして行きます

しかし株価とは企業業績の裏付けとなるEPSが基準となり割高とか割安が決まって来ます

またEPSを用いるにしても通常は予想EPSを用いて判断してしまうことから

S&P500の予想EPSが226ドルなんて見通しが甘過ぎる

とか

S&P500の予想EPSは10%は下方修正されるから割高だ

とか

市場の見方は予想EPSが226ドルなんて楽観的過ぎる

など予想EPSの水準を絶対的な価値として判断したり見ているのです

しかし予想EPSの言葉通りにアナリスト予想の平均に過ぎず、一昨年から予想EPSは楽観的に過ぎるとの見方や判断が圧倒的でしたが、この見方や判断では実感としては感覚的には正しいように感じても実態は全く異なるのが株価のカラクリとなるのです

予想EPSのEPSとは1株当たりの利益を意味しますが、1株当たりの利益とは

税引き後純利益÷発行済株式数=1株当たりの利益

となります

予想となっているようにアナリスト予想の平均となりますが、具体的には一年後のEPS予想となります

この一年後のEPS予想とは実績に対する利益見通しとなります

つまり実績EPSと比較して一年後にはEPSがどれだけ成長しているかをアナリストは予想し、アナリスト予想の平均が予想EPSとなるのです

結果として株価の基準とは全て

実績EPS

が基準となり、実績EPSと比較して一年後のEPS予想のアナリスト平均が予想EPSとなり、その予想EPSに対してPERが決まり株価となり、この予想EPSに対するPERを見て割高とか割安と判断している訳です

つまり全ての始まりは実績EPSとなるのですが、ほとんどの投資家や専門家、マスコミなどは逆から見ているのです

株価を見て割高とか割安と判断している→PERを見て割高とか割安と判断している→予想EPSを見て割高とか割安と判断している

これでほとんどの投資家や専門家、マスコミは完結しています

しかし見て来たように全ての始まりは

実績EPS

であり本来なら、そして投資判断の基本とは

実績EPSを見て割高とか割安と判断し→予想EPSを見て割高とか割安と判断し→PERを見て割高とか割安と判断し→株価を見て割高とか割安と判断する

これが投資判断の基本であり、本来の投資判断であり実際に世界で最も成功している投資家となるバフェットさんや世界で最も成功しているヘッジファンドのファンドマネージャーのキャシーウッド、日本人で最も成功しているヘッジファンドのファンドマネージャーの堀古さんなどは、この実績EPSを見て投資判断しているのです

株価の全ての始まりは企業が決算発表で示した企業業績の結果から算出している実績EPSであり、株価が割高とか割安などと判断するには実績EPSを見る必要がある訳です

私も日経平均は実績EPSの推移が確認出来ないので予想EPSの推移から判断していますがアメリカの場合は実績EPS、予想EPSなどデータが容易に揃うので実績EPSを見て判断出来るのです

さて予想EPSだけを見ていても、それが妥当な水準なのかは分かりません

アナリスト予想が楽観的と見るか?

それとも悲観的と見るか?

それは予想EPSだけを見ていてもさっぱり分からないのです

さて前置きとなりましたが、 いよいよ本題に入ります

実績EPSの推移

2021年12月末のS&P500の

実績EPSは162.5

2022年12月末のS&P500の

実績EPSは206.54

2023年1月20日のS&P500の

実績EPSは209.97

となっています

仮にPERを18倍と仮定すると

2021年12月末は

162.5×18倍=2925ポイント

2022年12月末は

206.54×18倍=3717.72ポイント

2023年1月20日は

209.97×18倍=3779.46ポイント

という結果となり2021年12月末からの推移で見ると

2925=3717.72=3779.46

という関係となる訳です

つまり企業業績が拡大して株価の基準となる実績EPSは2925から3779.46にまで29.2%も上昇しており、つまりは29.2%も株価の水準が切り上がっているのです

例えば

実績EPSが180の時にアナリスト予想の予想EPSが10%の減益予想となると予想EPSは162となります

実績EPSが210の時にアナリスト予想の予想EPSが10%の減益予想となると予想EPSは189となります

この時のS&P500は

予想EPS162×PER18倍=2916

予想EPS189×PER18倍=3402

となります

つまり同じ10%の減益予想になると仮定しても予想EPSは実績EPSの水準が切り上がっていることから2916から3402にまで水準が切り上がっている訳です

このように実績EPSの水準が切り上がると株価の割高とか割安の目安の水準は大幅に切り上がるのが実態なのですが、実際には株価の絶対的な水準だけを見て割高とか割安と判断し

上がった

下がった

と株価の結果だけを見て後付け感想文を書いているマスコミや専門家、投資家が圧倒的多数となっています

つまり実感というか感覚的にはS&P500はリセッション入りが懸念されているのに下落しないから高過ぎると判断している投資家や専門家、マスコミが圧倒的多数となっていますが、実態としては実績EPSが僅か1年ちょっとで29.2%も上昇していることから株価の水準も29.2%も上昇しているので、その分割高とはならない訳です

この辺りの基本的な株価の知識が欠如している投資家や専門家、マスコミなどが単純に株価だけを見て

上がった

とか

下がった

とか

このところ下落していたから値を戻した

とか

下落していたから戻りを試している

など後付け感想文を書いているのが実態なのです

私がマイクロソフトやテスラの決算発表を高く評価しているのは実績EPSが切り上がっているからです

マイクロソフトは業績見通しが市場予想を下回り爆上げが帳消しとなってしまい、割合と散々な評価となっているようですが、マイクロソフトも実績EPSを切り上げているので株価のベースとなる基準が切り上がっていることから私は高く評価しているのです

実績EPSが切り上がっていれば、目先の株価が下落しても全く問題は無い訳です

また株価だけを見て割高とか割安などの判断にも意味は無い訳です

S&P500の実績EPSは1年ちょっとで29.2%も上昇し株価の基準が29.2%も上昇している

これが最も重要となるのです

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