金利上昇

 



昨日は日銀が現状維持を決定し、ひとまず金利は低下しています

金利が上昇すると株価の理論値とは

将来発生する税引き後キャッシュフローの割引現在価値

となります

ノーベル経済学賞を受賞した金融理論となるCAPMの理論となり、極めてポピュラーな投資理論となり、実際にS&P500は過去10年以上、一時的な乱高下を除き理論値で推移しています

例えば10年後のキャッシュフローを100ドルと設定し金利が0%、1%、2%で比較すると株価の理論値となる割引現在価値は

1、金利が0%の場合の割引現在価値は100ドル

2、金利が1%の場合の割引現在価値は91ドル

3、金利が2%の場合の割引現在価値は82ドル

となり、金利が0%から1%に上がると株価の理論値は100ドルから91ドルへと9%下落し、金利が2%に上がると株価の理論値は100ドルから82ドルにまで18%の暴落となります

株価の理論値とは金利次第であり、

金利が上がると株価は下がる

金利が下がると株価は上がる

という関係性にある訳です

実際に昨日の日本市場を見ていれば、金利が下がると株価が爆上げしていたので如何に金利が株価に影響を与えるかは実感しているかと思います

日本でも金利上昇が見込まれることから株価の理論値を下げて行くので金利上昇局面とは株式市場には強い向かい風となり、投資家は難しい判断に迫られて行くのです

さて、そこで今日は金利が上がることで企業業績にプラスとなって来る業種について考えて行こうかと思います

一般的には銀行は利鞘拡大により企業業績は拡大して行くから有利だと判断され、実際に買われていますが、それも含めて分析し考えて行きます


まずは銀行から触れて行きます

確かに金利が上がると利鞘は広がって行くので業績拡大が期待されます

しかし地銀は収益構造から見て決して大幅なプラスになるとは思えず、むしろ短期的には多くの地銀にはマイナスの影響が強まると考えています

地銀の預貸率は70%程度で預証率は30%程度となっています

預貸率とは預金に対する貸出しの比率であり預証率とは預金に対する株や債券などの保有比率となります

例えば1兆円の預金規模だと

1、貸出しは7000億円

2、株や債券などの保有が3000億円

という比率となります

さらに細かく見て行きます

地銀の貸出し先とは地方の中小企業が主たる貸出し先となります

金利が上がり地銀の利鞘が拡大し、業績が拡大して行くとの論理は地銀が貸出し先の中小企業に対して金利を引き上げて貸出して行くので利鞘が拡大して行くという中身となる訳です

そもそもとして、この論理が成り立つのか?

というのが私の疑問となります

中小企業は0金利のような状態でも利益を出せず、赤字企業の比率が70%くらいと言われています

0%の金利でも利益を出せない中小企業が多数の状態で金利が上がると借入金利が上昇し利払いは増えて行くのです

平たく言えば地銀は金利が上がるので中小企業向けの貸出し金利を引き上げるから儲かるし、中小企業は利払いが増えても払えるから地銀は儲かるという論理構成となっている訳です

で、そんなことは無いだろうという見方が私の分析となります

中小企業は金利が上がり利払いが増えれば利息を払えなくなり、破綻が増えて行き地銀は貸し倒れとなって行く

と私は見ています

またもう一つの収益源となる株や債券からの収入

株や債券とは言っても大半が債券となり国債となります

国債の金利が上がるので長期的には利回りが増えて行くので確かに利益の拡大となって行きます

しかし、そこに至るまでは保有している国債の評価額が下がるので含み損が膨らみ、債券市場で売って行くので損失となったり自己資本比率が下がるので貸出しを抑制したりとなって行くことから金利の低い国債と金利の高い国債に入れ替わるまでは利益拡大とは、中々、なって行かない構図にあるのです

つまり地銀は金利が上がるとは言っても収益源となる中小企業向け貸出しには期待出来ず、長期的には有望となる債券の利回り拡大でも短期的にはプラスとはならず、地銀は金利上昇による恩恵を受けるには随分と先となるので投資の有望先とは私は見ていないという結論です

メガバンクは世界的な金利上昇が始まって行くタイミングとなる2年前の2021年初めから長期的に有望だとブログで書いていて、特にトップの三菱UFJが有望だと書いていました

結果は過去2年の三菱UFJの株価の推移を見て確認して下さい

さて本題に入ります

金利上昇で有望となる業種は生保や損保業界と判断しています

保険会社の収益構造は誰もが頭に浮かぶ保険料となります

保険料は保険の支払いや費用、利益を上乗せして決まるので保険会社は必ず儲かる仕組みとなっていて、保険という性質上、長期に必ず儲かるという仕組みじゃ無いと、そもそも保険として許可されない仕組みとなっています

このため保険会社の収益構造は極めて安定しているのですが、金利により違って来るのが運用となるのです

保険料とは支払い保険や利益、費用などが上乗せされて決まる事から安定した収益構造となりますが、その預かった保険料を運用して行くので金利が上がると運用利回りの増加となるので保険会社は金利上昇による恩恵を受ける業種なのです

保険料の運用で株や不動産、貸出しなどに投資し巨額の損失となったバブルの教訓もあり保険会社の運用は国債が中心となっていて特に長期の国債への投資が多くなっています

そのため金利が上がると長期に国債を保有して運用することから長期に渡り金利上昇の恩恵を受け続けるのです

運用手法は様々ですが保険会社は長期に国債を保有し続けるという運用スタイルなので金利上昇による恩恵が最も固く得られる業種なのです

保険会社は金利が上がれば上がるほど長期に渡り運用利回りが増加することから日本の業種では最も恩恵を受ける業種だと私は見ています

保険会社の中から投資先を探すのも金利上昇時代に適した運用手法の一つだと考えます

一応、念のためではありますが、保険会社への投資をお勧めしている訳ではなく、ありふれた表現となりますが、投資は自己責任となります

あくまで私は、そのように見ているというお話です

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